音楽と社会フォーラムのブログ

政治経済学・経済史学会の常設専門部会「音楽と社会フォーラム」の公式ブログです。

ヘヴィ・メタルの「効果」についてのある見解

 すっかり暑い日が増えてきました、と思いきや台風が続発する今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。どうか強い風や大雨にはお気をつけて、と願うばかりです。

 

 と、そんなある日、ヘヴィ・メタルについての興味深い記事を見つけました。10代のころから今日に至るまで、まさに長年ヘヴィ・メタルを愛好し続けている中年男としては、やはり気になります。ということで以下にご紹介させていただきます!

 

amass.jp

   ニューヨークを拠点とする臨床心理学者でセラピストである、ニコール・アンドレオリ博士によれば、「ヘヴィメタルはネガティブな感情を和らげ、ストレスを軽減させる。ヘヴィメタルを聴く人は聴かない人に比べて、より多角的・論理的に考える傾向がある。ヘヴィメタルは集中力を高める効果があり、またリスナーに怒りを処理する方法を与える」。また、「ヘヴィメタルは集中力を最も高める効果があることも分かっています」。「店で人前に出るなど日常的な行動においてメタルを聴いたときは“完全な安らぎ”を感じることができる」そうです。

 

 なるほど、私の温厚な性格、集中力の源泉(笑)は、ずっと聞き続けてきたヘヴィ・メタルに一因があるのですね!納得しました!

 と、いいたいところですが、まずヘヴィ・メタルと「完全な安らぎ」とを結びつけることができるとは驚きです!

 加えて、私自身もそうなのですが、ライブの映像などをみますと、ヘヴィ・メタルに触れますと、皆大声を上げ大きく体を動かし、何かを発散しているようにも見受けられます。それがよい効果を生む、ということでしょうか。

 

 また「ネガティブな感情を和らげ」とありますが、例えばデス・メタルなどは、ある人から見れば、極めて「ネガティブ」ととらえられる歌詞やバンドの姿勢にこそ特徴があるようにも思えるのですが…本当かな?と思いつつ続きを読むと…

 

 「ヘヴィメタルの歌詞は、怒りに焦点を当てる傾向があります。しかし、ヘヴィメタルを聴くことが暴力への鈍感さにつながるという研究はありません。ヘヴィメタルを聴くことは、怒りを安全に処理するためのポジティブな方法であることが分かっています」。

 

 ヘヴィ・メタルの歌詞は「怒りに焦点を当て」ている場合が多いゆえに、むしろ「怒りを安全に処理する」方法になると。この点は(ある意味では逆説的ですが)実体験を通じて納得できる部分があります。ヘヴィ・メタルも持つ特有の激しさは、上記の通り、何かを発散するのに適しているように、個人的には思います。

 

 ただ、歌詞(の内容)については、英語が多いのですので(恥ずかしながら(笑))私にはあまりわかりませんので、その効果はどうかなと思ったことも事実です。「怒りに焦点を当て」た歌詞、という点では、パンクなどのほうがよりその傾向が強いようにも思いますが、パンクにも同様の効果があるということなのでしょうか。

 

 博士のお考えの中で、とりわけ「ヘヴィメタルを聴くことが暴力への鈍感さにつなが」らないという主張は、1980年代のアメリカで多くの人の間で巻き起こった、ヘヴィ・メタルに対する批判およびそれに基づく運動と真っ向から対立するものといえるかもしれません。

 

 ご関心をお持ちの方は、リンク先にて博士が主張を展開しているTikTokの映像を見ることができますので、ぜひご覧ください!