音楽と社会フォーラムのブログ

政治経済学・経済史学会の常設専門部会「音楽と社会フォーラム」の公式ブログです。

ちょっとしたメタル話 その3 へヴィメタルと演歌の美しき融合

 すっかり遅くなってしまいましたが、新年明けましておめでとうございます! 今年も本フォーラムをよろしくお願いいたします。

 今回は、音楽をめぐる雑談として「ちょっとしたメタル話」をさせていただこうと思います。前回よりおよそ11ヶ月ぶり、3回目となります!

 この雑談では、日本と(海外の)へヴィメタルの関係を中心的な話題としてきました。今回は新年ということもあり、最も日本らしい音楽(の一つ)ともいえる演歌について触れてみたいと思います。前回「その2」では、へヴィ・メタルのアーティストによってとりあげられた日本発のメロディについて言及しました。世界中のへヴィメタルにとっては近年、日本が最重要のマーケットの一つであることは疑いなく、そのためか、「日本大好き」を公言するアーティストも少なくありません。その最右翼ともいえるイタリアの某バンドは、近年の作品において日本の某人気アイドルの曲、海外でも人気のアニメ「〇レンダイザー」の主題歌などをカバーしていましたが…
 果たして演歌はどうでしょうか。一見するとへヴィメタルから最も距離のあるジャンルのように感じられる方もおられると思いますが、例えば「泣き(のメロディ)」等、両者には共通する特質も見いだせると思います。また、その創成期よりメタル界を牽引してきた故Ronnie James Dio氏のこぶしのきいた歌唱法は、演歌におけるそれに通じる部分があると指摘されてきました。

 今回はヘヴィメタルと演歌の美しき融合の一例として、アンドレ・マトス(Andre Matos)の2012年の作品「the turn of the lights」のスペシャル・エディションのみに付されたボーナスディスクに収録された“Hisame”を紹介いたします。
 アンドレ・マトスは、Viper(2nd「Theatre of fate」(1991)は必聴)〜Angra(全作良いですが、やはり1st「Angels cry」(1993)から)、そしてSymphoniaのリードシンガー、ブラジル出身のアンドレ・マトスをリーダーとするバンドで、本作は3rdになります。マトスの作る楽曲、作品、そして彼の参加したバンドは一貫して日本で非常に人気が高く、彼も日本を愛し、演歌をとりあげるに至ったと推察します。
  “Hisame”は、(40歳代半ば以上の人であれば)多くの人が知っている、演歌の名曲の一つといっても過言ではないと思います。1977年に発表され、1982年には多くの歌手が同時に歌い、同時にヒットさせた珍しい例としても知られています。現在でも歌い継がれており、多くの日本人アーティストによるカバーが残されております。今回のカバーも日本語のイントネーションには少し揺らぎがありますが、「泣き」のギターと重厚なアレンジが、名曲に新たな魅力を与えているといってよいでしょう。メロディの素晴らしさが際立っています。

 年末恒例の某歌合戦においても演歌の比率は年々、目に見えて小さなものになっているようです。是非他のアーティストにも演歌の名曲を掘り起こしていただき、新たな光をあてていただければ、と願わずにはいられません。

 

 新年らしい?話題で始まりました本ブログですが、フォーラム同様本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。