音楽と社会フォーラムのブログ

政治経済学・経済史学会の常設専門部会「音楽と社会フォーラム」の公式ブログです。

2022年の夏における「声出し」について

 涼しい日も多くなってきまして、いささか過ごしやすくなったと感じる今日この頃です。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 

 先日、2022年の夏の甲子園大会が終了しましたが、今年は観客の入場制限がないかたちで開催されたようです。きっと球児のみなさんやご家族をはじめとした関係者のみなさんにとって、とても良い経験、思い出深い経験になったことが想像されます。いち観戦者としても、大いなる盛り上がりを強く感じることができました。

 

 いよいよコロナの影響も少なくなってきたのか、と安直に思ったのですが、現在も多くの自治体において、大人数の観客が集まるイベントでは、大声を出しての応援、声援等(以下、「声出し」)は原則的に制限されております。ただし、そうしたイベントでも入場者数等を5000人以下、あるいは会場の収容率を50%以下に制限した場合は、「声出し」が可能となるようです。詳しくは各自治体の㏋等をご覧いただければと思います*1。甲子園大会の場合は、関係者のお気持ちを想像した場合、人数制限するよりも「声出し」を制限する方を選択するのは当然かもしれません。

 

 また、応援団のブラスバンドの人数も制限があったようです*2。他にもホイッスルなど使用が制限されている楽器もあるとの話でした。ブラスバンドのみなさんにとっても甲子園は晴れ舞台の一つであるとのこと。近年はよりその傾向が強いとうかがっていますので、応援の演奏をされるみなさんにとっても、上記のような制限がなくなる日が待ち遠しいのではないでしょうか。

 

 こうした状況は、例えばプロ野球*3やJリーグなどの多くの観客が大人数を集まるプロスポーツも同様のようです。試合会場で声を出して応援することを好まれる方々にとってはフラストレーションがたまる場合もあるかと思いますが、昨年、一昨年のことを想起しますと、まずは入場者の制限なく様々なイベントが開催されることを、個人的には嬉しく思っている次第です。

 

 

 さて、夏の定番であった音楽フェスについては、報道などでご存じのように、今年は多くの会場で行われているようです。ファンにとっては、待望の夏、という感じかと思います。やはり野外で生の演奏に触れること、堪能することは、格別ですよね。

 

 ただ、こうした音楽フェスにおいても「声出し」の制限がなされている場合が多いと聞いています。もちろんスポーツの応援もそうなのですが、音楽フェスで声を出さないというのは、何と言いますか…。筆者自身、ライブで声を出さない、歌わないという経験が全くありませんので、どのような感じなのか、想像もつきません。

 

 もちろん多くの人が集まる場ですから、さまざまな考えを持った方々がおられるのは当然と思います。そうした中、皆が楽しく感じ、良い思い出を作ることがなによりですので、致し方ないとも言えますが。音楽フェスも、興行面を考慮すれば、人数制限よりも「声出し」制限を選択する場合が多いであろうと考える次第です。

 

 日常生活においては、徐々にマスクを外す機会が多くなってきました。音楽の楽しみ方も早くコロナ前のかたちに戻ることを願ってやみません。声を出す、歌うことは大変心地よいことと考えますし。ただ、今や音楽産業の重要な柱である、音楽フェスが大々的に行われたこの夏を、まずは喜びたいと思っている今日この頃です。

 

 

*1:例えば、神奈川県については下記をご参照ください。https://www.pref.kanagawa.jp/docs/j8g/callcenter.html

*2:蛇足ですが、ブラスバンドが演奏する曲の多様さと同時に、その選曲の「なつかしさ」にも驚かされました。例えば、「宇宙戦艦ヤマト」や「ルパン三世」、「タッチ」等、筆者が若いころに聞いた曲は定番のようですし、筆者も大好きなバンド、スペクトラムの「サンライズ」もよく聞きました!高校生のみなさんはよくご存じですね。ちなみに現在放送中の大河ドラマ「鎌倉殿…」の主題歌をブラスアレンジで演奏している高校もありました!早い!

*3:これまた蛇足ですが、先日テレビであるプロ野球中継を見ていましたら、応援歌のようなものを歌うなど、声を出しての応援が聞こえてきました。いよいよ制限が解除されたのか、と思いきや、録音したものを流しているとのこと。球団もいろいろ盛り上げる方法を考えているなあ、と妙に感心してしまいました。