音楽と社会フォーラムのブログ

政治経済学・経済史学会の常設専門部会「音楽と社会フォーラム」の公式ブログです。

アナログレコードの「復活」の動きと個人的な思い

 蒸し暑くなってきました今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 

 アナログレコード(vinyl record)の天敵の一つである、カビの季節が近づいたともいえますが。

 

 中年の筆者にとっては、アナログレコードこそが最重要の「音源」であり、音楽に触れる手段でありました。盤面に指紋がつかないように(ついた箇所にカビが出てきますので)ジャケット(および中袋 *日本ではビニール、アメリカでは紙が多かったように思います)からレコード盤を取り出し、ターンテーブルにそっとのせて、針を落とす。こうした「繊細」な手続きを経てはじめて、音楽に出会うことができました。今考えると、ガサツな筆者にとっては面倒ではありましたが、不得手なこのデリケートな作業を進めているとき、いつも本当にわくわくしたことを記憶しております。

 

 ただ、筆者所有のアナログレコードは、現在では必ずしも頑丈とはいえない実家にとっての「重荷」としての面ばかりが際立つようになっております。ここ数年、アナログレコードに針を落とした記憶がありません。

 

 この人は突然何をいっているのか、とお思いかもしれませんが、(かつて)あれほど愛したアナログレコードのことをふと考えるきっかけとなった、興味深い記事を紹介いたします。

 

「復活を遂げたアナログレコード 一体どんな人が買っているのか? 米国の新しい調査結果発表」

復活を遂げたアナログレコード 一体どんな人が買っているのか? 米国の新しい調査結果発表 - amass

 

 主にアメリカにおけるアナログレコード市場を分析したこの記事を筆者なりに解釈しますと、若い方々も購入することが多く、その数は昨年に比しても大幅に増加しております。筆者などは新品よりも中古が好きだったのですが、新品(発売していること自体が筆者には驚きですが)を購入される方も多いとのことです。しかもその多くはアナログレコードの「良さ」を理解しており(例えば、「本物」感、音の「温かみ」等)、継続して購入される場合が多いようです。

 

 上記の状況については、サブスクあるいはネットを媒介してで音楽を聴くことが普通となったこの時代にどうして?とも思ったのですが、やはりアナログレコードを音楽を聴く手段というよりも、(例えば音楽自体はデジタルを通じて聴き)レコードをモノとして所有したい、集めたいという意識で購入される方も多いとのことです。私自身もこれと共通する思いを持ち合わせておりましたので、妙に納得してしまいました。

 

 筆者は10代のころに、アナログレコードからCDへの「移行」に直面しましたが、当時から後者に比して前者の音質が優れているとされていました。ただ、筆者は安物のオーディオ機材しか所有しておらず、音質も違いはよくわからなかったことを記憶しています。前出の記事によれば、アナログレコードの購入者の少なくない数の方々がオーディオ機材のアップグレードを考えているとあります。なるほど!、こうした「新たな」市場の開拓、「経済効果」もあるのか、と単純に思いました。もっとも筆者はCDの台頭の際、アナログレコードの問題点の一つの「プチプチ音」(この表現が適切かわかりませんが)がないこと、また持ち運びが容易なことに感動しましたが。例えば、夜に友人などと会う約束をした日でも、かさばらないので気楽にショップに出かけ購入することにある意味での楽しさを感じたこと覚えています。

 

 と、さまざまな私的な思い(出)を綴らせていただいたのですが、その過程で、日本でも、とりわけ2000年代に入ってみられたアナログレコードの復活・復権の動きにほとんどかかわりのなかった自分がいることを再確認しました。一時期は、今後レコード針が入手できるのか、と真剣に気をもんだ時期もあったのですが、それから、かなりの時間が経過したようです…ともあれ、アナログレコードをこよなく愛した者としては喜ばしい昨今の状況であり、いつか筆者もこのムーブメントに参加したいと考えてはおります。

 

 乱文失礼しました。