音楽と社会フォーラムのブログ

政治経済学・経済史学会の常設専門部会「音楽と社会フォーラム」の公式ブログです。

第6回研究会が開催されました!

 まだまだ残暑の厳しい今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。音楽と社会フォーラム事務局です。
 去る8月2日(木)、炎天下の東京大学において、音楽と社会フォーラムの第6回の研究会が開催されました。以下、事務局による「研究会参加記」を書き綴ってみたいと思います。私の不手際で「参加記」の掲載が遅れまして申し訳ございません。

 研究会の途中で私が追加の「お茶(2ℓ)」を買いに出かけるほどに暑かった当日、突然日程を変更し木曜日開催となってしまったのですが、12名もの方々にお集まりいただきました。まことにありがとうございます!
 14時を少し過ぎた頃から、いつもの通り「極力手短な」自己紹介を経まして、14時20分頃から岸田旭弘さん(神戸市外国語大学)のご報告が始まりました。テーマは「音楽のカルチュラル・スタディーズ―新しい音楽研究の視座」です。ご報告においては、マーティン・クレイトン他編『音楽のカルチュラル・スタディーズ』(初版、2003年)の内容を大変詳細にご紹介いただきました。それのみならず、同書と、新たに9つの章を加え、かつ既存の章もすべて編集・改訂した同書の改訂版(2010年)との「コンテンツ対応表」まで披露していただきました。お読みになられた方々ならお分かりと思いますが、同書は、非常に多様な音楽にかかわるテーマに、ある意味では網羅(羅列)的にふれた、まさに玉石混合ともいえる論文集であり、その内容を紹介するだけでも大変な労力を必要とするものと想像されます。岸田さんは、同書の内容を独自の視点からテーマ別に大胆に再構成し、詳細なレジュメを駆使しつつ、文字通り多様な内容を簡潔に紹介されました。毎回同じような感想で恐縮なのですが、ともすれば散漫な印象が残ってしまう同書をしっかりと読み込めたような気にさせる。そうしたわかりやすく、そして貴重なご報告であったと思います。
 岸田さんは同書の内容に対しいくつかの議論を投げかけてられ、それについての議論も展開いたしましたが、それらについては、後日掲載予定のご本人によりますご報告の概要に委ねることにいたします。

 15時40分までの約1時間20分のご報告の後、休憩をはさみ、15時55分頃より討論が始まりました。
 討論の詳しい内容は割愛させていただきますが、今回も多くの方々から、多くの脱線を伴う多様な論点が提起されました。より盛り上がりを見せた論点、印象に残ったとしまして、音楽と文化の関係(両者を分けるものがあるとすれば何か)、音楽における「イギリス帝国主義」、クラシックとその他のジャンルの関係、音楽(学)研究の「方法」(社会科学・歴史研究のそれとの対比)等をあげさせていただきます。いずれも今後さらに継続して議論すべき論点かと思います。お忙しい中、ご報告いただきました岸田旭弘さん、参加していただきましたみなさま、本当にお疲れ様でした。

 討論の後、17時10分より1時間半ほど、今年の政治経済学・経済史学会秋季大会で行うパネル・ディスカッションの準備研究会を行いました。簡潔な形ではありましたが、本番通りの順番で、井上貴子さんによる趣旨説明、ご報告にはじまり、井上さつきさん、小野塚知二さんのご報告が行われ、それらをふまえて、文字通り忌憚のない意見が飛び交う討論がなされました(「脱線」が些か多かったような気がしますが)。内容は本番までの「お楽しみ」ということにさせていただき、ここでは紹介いたしませんが、討論の中で印象に残ったのは、音楽は「特殊」なものという「意識」が根強い、という見解でした。本パネルには、もちろんフォーラムに参加されておられない方々にもご出席いただければと思っております。詳細は、この記事をご参照ください。みなさまのご出席をこころよりお待ちしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 また次回の研究会の日程は、政治経済学・経済史学会秋季大会の際に行う本フォーラムの会合において決定することになりました。取り上げる文献は、マックス・ヴェーバーの『音楽社会学』を予定しております。詳細が決定次第、本ブログまたMLでお知らせいたします。

 その後の懇親会にも多くの方にご参加いただきましたが、「いつもの店」においても、研究会同様、活発な「お話」が尽きることはありませんんでした。そのまま、二次会、三次会に向かわれた方もおられたようです。みなさま、夜遅くまでまことにありがとうございました。