音楽と社会フォーラムのブログ

政治経済学・経済史学会の常設専門部会「音楽と社会フォーラム」の公式ブログです。

ちょっとしたメタル話 その1―「国歌」とへヴィメタル―

 今回は、音楽をめぐる雑談として「ちょっとしたメタル話」をさせていただこうと思います。
 昨年11月の研究会で行われた小野塚知二さんのご報告において、“ラ・マルセイエーズ”のなかなかに激しい歌詞についてのご紹介があり、討論の中で「激しさ」という点で同曲とヘヴィメタルとの間には共通点があるのでは、という指摘がなされました。ご報告全体の内容もさることながら、私自身、この指摘に大いに刺激を受けました。クラシックとメタルの関係はその初期から現在に至るまで深く、クラシックの名曲の「メタルバージョン」は非常に数多く存在しますが、「国歌」ではどうなのか。懇親会でもお話しましたように、少し調べてみることにいたしました。
 さしあたり“ラ・マルセイエーズ”に限定しますと、まず、私の報告でも紹介しましたバンド、メタリカMetallica)が同曲をライブで演奏している音源、映像が存在します。また、少しマイナーですが、北欧メタルの雄、スウェーデンのシルヴァー・マウンテン(Silver Mountain)の名作デビューアルバム「Shakin’ Brains」(1983年)のオープニングを飾る“1789”のギターソロの一部に同曲のメロディが挿入されています。
この“1789”は、タイトルからお分かりのようにフランス革命をテーマとした曲であり、それゆえのアイデアかと思います。よろしければ一聴をお奨めいたします。いずれも歌詞ではなくメロディの引用です。この点はメタルにおける歌詞の位置を考える意味でも興味深いと思います。
 それぞれの「国歌」には、(他の音楽とは異なる)さまざまな意味、思いが込められている場合も少なくないと思われます。それゆえ、安直に「カバー」されるケースは多くはないのでは、と感じていますが、実際はどうなのでしょうか。さらに探求を続けたいと思います。

・・・・・・・・・・・・・

 第5回研究会の開催が迫ってまいりました(2011年5月19日(土))。そこでは、和田ちはるさん(東京芸術大学)に「アドルノ音楽社会学再考」(仮)というテーマでご報告いただきます。同時に、今年の政治経済学・経済史学会秋季大会で行うパネル・ディスカッションの最終案について討論する予定です。井上貴子フォーラム代表からどのような内容を目指しているのかをお話いただきますが、是非みなさまからも多くのご意見をお寄せいただければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。